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質問<3566>2007//from=JUN*2「行列の対角化」

次の問題について、お尋ねします。



とするとき、

1.Aの固有値と固有ベクトルを求めよ。
2.1次独立な3つの固有ベクトルが選べることを確かめよ。
3.Aを対角化せよ。
4.を求めよ。

以上4問についてお手数ですがよろしくお願いいたします。



う~ん・・・・・・。これも教科書見ながら解けば難なく解ける基本問題だと思うんですけどねえ・・・・・・。
ま、いいか。ここでもMaxima使って手を抜きながら解いてみましょうか。詳しい事は教科書参考にして下さい。まずはMaximaをダウンロードして下さい。




まずはちょっとしたテキスト入力を行ってみましょう。
Maximaでは、何かの変数(今回は行列A)を定義する場合、

A:

と入力します。
まずはここまで、Maxima下段にあるINPUT:に入力します。



ここでMaxima上部にあるプルダウンメニューを開きます。目指すはAlgebra(代数)と言う項目です。




そしてEnter matrixと言う項目を選びます。Matrixってのはキアヌ・リーヴスのアレの事じゃござあません。



いや、だからそれじゃないです。行列の事ですね。



いや、だからそれも違いまんがな。堪忍したってや。
ええと、だから行列入力と言うそのまんま(宮崎県知事)の意味です。


matrixポップアップが現れます。
ここで行数(Rows:)、列数(Columns:)を決定するんですが、今回は3行3列の行列を扱うんでデフォルトのままで構わないでしょう。また、Type:を弄る必要もありません。このまま[OK]ボタンを押します。



そうすると、行列の成分の入力画面が現れます。ここに問題文に沿って、行列Aの成分を記入にましょう。



そして[OK]ボタンを押します。



これでMaximaのAと言う変数に問題の行列を認識させる事が出来ました。

1.Aの固有値と固有ベクトルを求めよ。

Maximaに固有ベクトルを算出させるコマンドは

eigenvectors(計算させたい行列)

と言うモノです。これを下部のINPUT:に入力します。ちなみにeigenvectorとはドイツ語で固有ベクトルの事を指します。アメリカ人なんかは何でも英語読みしなきゃ気が済まない人達なんですが、どう言うワケか固有ベクトルに限ってはドイツ語で読みます。
ここでTips。さっき設定した変数Aを使うか、ないしはMaximaの出力表示番号である

%o1

を使ってコマンドを簡易化することが出来ます。また行列を打ち込まなくてイイのです。以下が入力例です。



[Enter]キーを打つと計算結果が表示されます。


かなり特徴的な出力結果が得られます。

(%o2)
[
[[-(sqrt(129)-15)/2,(sqrt(129)+15)/2,3],[1,1,1]],
[1,-(sqrt(129)+1)/8,-1],
[1,(sqrt(129)-1)/8,-1],
[1,-1,0]
]

この内訳は実は次のようなモノです。

[[固有値,固有値の出現回数],固有ベクトルの基底]

Maximaでの固有ベクトルの計算出力は上のようになっているのです(それぞれ順序は対応しています)。
すなわち、固有値を,、、とし、固有ベクトルの基底をとすると、








と言うのが答えになります。


2.1次独立な3つの固有ベクトルが選べることを確かめよ。



得られた固有ベクトルの基底は1次独立になります。教科書に戻って1次独立の定義を調べて確かめてみてください。


3.Aを対角化せよ。



次のように、Maxima上でを単純に並べた行列Pを作ります。



Pの逆行列を作ります。ちなみにMaximaでの逆行列を求めるコマンドは

invert(行列)

となります。invertとはひっくり返すって意味ですね。
ここではPの逆行列をIPとして、次のように入力します。


[Enter]キーを押して計算します。


そして行列の積を作ります。
ところで、通常の計算の場合、コンピュータ上で積は*(アスタリスク)で表現します。ただし、Maximaの場合、行列同士の積に限っては.(ピリオド)で計算させる約束事になっています。ピリオドは小数点にも使われるので、誤作動を起こさせない為に行列とピリオドの間にはスペースを必ず入れましょう。


[Enter]キーを押します。



ものスゴイ出力が出てきます。
もっと簡単にならないのかどうか、今の出力結果に変更を加えてみます。
Maximaには式の展開を施すexpandと言うコマンドがあります。これを今の出力(%o05)に適用してみましょう。



[Enter]キーを押します。



はい。随分シンプルになりましたね。しかも見事に対角化されています。
実は、この解は、見た目は違いますが、先ほど求めた固有値を利用した



と言う行列なのです。固有値の値が一致しているのを確かめて下さい。
また、何故こうなるのか?と言う理由は教科書に書いてある通りです。


4.を求めよ。



3.で得られた対角行列をと表記すると、結果は



と言うモノでした。
逆に言うと、上の式は



と書き直せます。
ここで例えば、



と言う意味ですが、定義により、単位行列をEと表記すると、



である事にすぐ気づくでしょう。
あとはそれを一般化して考えればイイだけです。

以上です。




Maxima Manual: 行列と線形代数

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